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理系企業の地位向上と理系の就職

技術者、研究者は、通常は理系企業(製造業、技術系企業)に就職する。

理系企業は、多くの理系の就職先になっている。理系企業の地位向上は、理系の地位向上のために重要である。

科学技術の発展と人類の進歩に大いに貢献している高度な理系企業が、従業員に高い給料を払う余裕すらないような社会はおかしい。高度な理系企業がもっと利益を上げられるように研究開発減税を実施し、特許を強く保護すべきであろう。さらに、優秀な技術者、科学者に、賞などの形で、直接お金を給付していく必要がある。

また、理系の就職の際には、理系企業を選別していくことが重要である。理系を大切にしている理系企業に就職することが、長い目でみれば良い就職になるだろう。理系の晩年まで含めて、就職後の理系のたどる道を見極める必要がある。

役員の中に理系がどの程度の割合で存在するかは、一つの指標となるだろう。出世に興味がない理系でも、経営の際に、科学技術、理系的な要素を大事にする社風のメリットは大きいはずである。

歯科医師の過剰と地位低下

歯科医師(歯医者さん)の過剰と地位低下の問題は、狭義の理工系の地位低下と構造が同じである。なお、広義の理工系は、歯学部出身者を含む。

まず、歯科医師になるには時間がかかる。文系エリートが学部卒ですぐに収入が得られるのに比べ、歯科医師は、働くまでに時間やお金がかかる。

そして、歳をとると作業がきつくなる点も同じである。

そして、最も共通していることは、歯科医師の地位は、歯科医師が決めることができないということである。歯科医師は少数なので政治的な力も弱い。

このことから、歯科医師が過剰になっても、歯科医師の数を劇的に減らすことができないでいる。都市部では、歯医者さんが乱立し、シャッターを閉めている歯医者さんも目立つ。

歯科医師の数を減らすことが重要である。需要が伸びていないのであれば、供給を減らさなければ地位は向上しない。

皮肉なことに、技術の進歩が技術者の地位を引き下げるように、技術の進歩は歯科医師の地位を引き下げる。

近年の技術の進歩として、歯ブラシの技術革新とキシリトール等の普及があるだろう。今後、技術が進めば、歯科医師の需要は低下する。技術の進歩にともない、歯科医師の数を減らす必要があるだろう。

歯科医師の数を減らす必要があるといっても、歯科医師には歯科医師の数を減らす政治力が十分にはないだろう。歯科医師は少数だからだ。

そこで、歯科医師は医師との連帯を深め、さらには技術者、科学者など、理系全般との連帯を深めていくことが必要である。技術専門職という点で共通し、地位低下の構造が同じだからだ。

医師、歯科医師、技術者、科学者はかなり異なるように思えてしまうかもしれない。そこで、そのような固定観念を取り去る工夫が必要となる。

まず、医師と歯科医師の連帯を深めるため、歯科医師は、医師として連帯すべきだろう。医師の中に、心臓専門医、皮膚専門医などがあり、歯科専門医があるというイメージでよいだろう。また、歯科医師と科学者、技術者との連帯を深めるため、科学技術専門職の中に、技術者、科学者がおり、医療関係技術を有する医師、歯科医師等がある考えると、医師や歯科医師も一種の技術者であると捉えやすくなり、技術者の地位向上運動に加わりやすくなるだろう。さらに、科学技術専門職より広い概念として、科学技術関連職があり、理系の地位向上運動があり、理系の連帯によりすべての理系が連帯すると考えやすくなる。これは歯科医師の政治力を増すために重要である。

また、歯科医師の地位向上には、予防歯科の診療点数を増やすことが大事だろう。よい医師は、未病を治すのである。

予防歯科だけで十分な収入になるように診療点数を増やし、歯科医が予防を専門にして生計を立てることができるようにすべきである。

予防専門歯科医は、予防診療では決して歯を削らず、十分な説明と同意をした上で治療診療に移ることを書面で確認した後でなければ、決して治療をしないことを約束するようにすれば、予防歯科の需要は増大するだろう。

そして、予防専門歯科医は、他の技術職とも連帯していくことが重要である。たとえば、予防のための効果的な技術開発を共同で行なっていくことが挙げられる。

歯科には、科学技術振興の大きな可能性がある。削らないでレーザーで治療をするなど、技術革新の最たるものの一つであろう。世界の人々に貢献をするために、歯科の技術開発の分野の可能性は大きい。歯科医師の地位を向上させ、歯科医師が人類の未来のために大きく貢献できる仕組みを整えていくことが重要であろう。

歯科医師の地位向上は、理系の地位向上である。

技術職人の地位向上

技術職人の作ったすばらしい芸術品を見ると、技術職人の地位向上について考えさせられる。

技術職人の作品は、王や貴族に献上され、王や貴族の権威を高めた。

王や貴族には、技術職人を手厚く遇した者もいる。

しかし、技術職人のことをあまり保護しなかった者もいる。

牢屋に技術職人を閉じ込めて無理やり作らせた者もいる。

技術職人の地位向上は、その時代には省みられなかっただろう。

美しい芸術品を作ること自体に喜びを見出して、地位向上は必要がないという考え方もあるだろう。

技術系は清貧であるべきだという思想である。

しかし、技術職人はそのような清貧を喜んだのだろうか。

歴史の中の技術職人には、地位向上運動があったのだろうか。

理工系の地位向上には、今も昔も変わらないものがあるのかもしれない。

地位向上なんて世俗的なことより、美しい美術品を作ることが大事だという考え方もあるだろう。

美しい美術品は残った。技術職の技術へのこだわりと情熱は歴史に残る美しい美術品に結晶したのである。

しかし、やはり納得できないものが残る。その時代の王や貴族が権力を誇示するために、美術品は使われた。

技術職の匠の技は、権力のために使われ、力のない者を抑圧するために使われたのかもしれない。

そんなことはどうでもよいことかもしれない。

これは、もしかしたら技術者倫理につながる問題かもしれない。

しかし、技術職人はそのようなことよりも、美しい作品を作るのに夢中だったのだろうか。

歴史の中に、技術職人の地位向上運動はあまり残っていないだろうか。技術職人の連帯が唱えられたことがあっただろうか。

パトロンとして、技術職人の地位を向上させようとした貴族はいた。技術職人のことを真剣に考えていた人もいたであろう。

美しい美術品それ自体を愛していた純粋な人々もいたであろう。技術職人を国の宝として処遇したパトロンたちもいた。

その一方で、技術職人の作る美術品に興味はあっても、技術職人自身には興味のなかった者もいたであろう。

技術職人の名前は歴史に残っている場合と残っていない場合がある。名前が知られていた技術職人には、裕福な者もいた。

その一方で、技術職人には、不遇に苦しんだ者も多かった。

不遇に苦しんだ技術職人は、連帯して地位向上運動を行なっただろうか。技術職人の連帯や、理工系の連帯の考え方に至ったであろうか。

美しい美術品は、そのような地位向上運動とは無関係に輝き続けている。

美術品を見て、地位向上運動って何なのだろうと、とりとめもなく考えてしまう。

技術者倫理と研究者倫理

技術者の倫理を高めることは、技術者の地位向上にとって重要である。

技術者は、高度なプロフェッショナルとして、倫理感を持って仕事を行なうことになる。この点で、医師と変わることはない。技術の重要性は、医療行為の重要性に匹敵する。技術的な問題があれば、事故が起きて人命にかかわることも珍しくない。

研究者の倫理も重要である。研究者も、高度なプロフェッショナルとして、倫理観を持って研究を行なうことになる。この点で、医師と変わることがない。研究の重要性は、医療行為の重要性に匹敵する。研究が短時間に人命にかかわることは少ないかもしれないが、研究は人間の未来を変えていく力がある。長期的な影響力は何よりも大きいものがある。

高い技術者倫理、研究者倫理に基づき、技術者、研究者が高い地位を獲得していくことが重要である。高い倫理感は、社会の技術者、研究者への信頼を高め、地位向上につながっていく。

理系離れの原因

理系離れの原因が、教育の間違いにあるとか、理科離れを防止し、理科に興味を持たせる活動が足りないなどにあるという論調がある。

しかし、これらの説は、なぜ「医者離れ」が存在しないのかを全く説明できない。

理系離れの原因は、理系(医者などを除く)の地位が低いことにある。それは、「医者離れ」などというものが存在しないことから明らかである。

医学部に行きたい人が減ってしまって、医学部の偏差値が低下して困るという話は、聞いたことがない。

医者離れを防止するために、学校に、医学教室などを作って、みんなを医者にするため必死になるという話も、聞いたことがない。

医者の地位が高いので、「医者離れ」どころか、多くの人が医者になりたくてなりたくてたまらない状態になっている。

優秀な人材が、医学部に殺到し、「医者離れ」など起こりようがないのである。

理系離れの原因が何かは明らかである。教育の間違いにあるとか、理科離れを防止し、理科に興味を持たせる活動が足りないなどにあるという見解は、なぜ「医者離れ」が起こらないのかを、全く説明できない。

理系の地位を高めれば、理系離れは終わる。

技術者や科学者にみんながなりたがり、優秀な人材が、医学部と同じように、理学部、工学部、農学部、薬学部等に殺到することになるのである。

理系離れの原因についての論争を終わらせなければならない。

正しい対策をして、問題を解決するためには、真の原因を捉えることが重要である。

世界と日本の貧困問題と理系の連帯

世界と日本の貧困問題は、非常に重要な問題である。

世界には、多く飢えている人がいる。これは、メディアやホームページ等で多く解説されている。

日本は、昔は貧富の差が少なかったが、現在では格差社会が進展し、貧しい人が増加してきた。これも、多く問題になっている。

しかし、世界と日本の貧困の緩和には、理系の連帯が必要であるという主張は、従来存在しなかったであろう。

これらの問題の解決のために、理系の連帯の重要性を指摘するページである。

世界と日本の貧困問題と理系の連帯

科学者の地位向上

科学者(研究者)の地位向上は、重要である。

科学者の場合、基礎研究が多いため、政府の役割が大きい。科学技術関連予算を増やし、日本は、科学立国に邁進すべきである。

科学者の地位向上にも、理系離れは悪影響を与えている。

優秀な科学者の卵が、理系に進むことが重要である。そのためには、科学者の待遇は高くなければならない。

科学者は世俗的な欲求が少ないので給料は低くてよいという考えが日本に広まっている。しかし、科学者にも色々な人がいるので、このような見方は一面的である。

色々なタイプの優秀な人材が、科学者を目指すことができるように、科学者の給料は高くなければならない。また、家庭が貧乏な者が、科学者を断念することがないように、奨学金の充実が重要である。

科学者は、理系ばかりではない。人文科学、社会科学の科学者も、重要である。自然科学の科学者と連帯して、科学者の地位向上を図る必要がある。

日本が、世界最先端の科学立国を目指すために、科学者の連帯が重要となる。日本が、世界で一番科学が進んだ国と言われるようにならなければならないのである。

弁理士、技術士、建築士等の地位向上

建築士、技術士、弁理士などは、理系の資格者ということができる。

一部文系も存在するが、理系にとっては憧れの資格といってよいであろう。しかし、これらの理系資格者の地位は、低下傾向にある。

建築士の待遇が低下した。待遇の低下も一要因となって、プロフェッショナルとしてあるまじき行為が行なわれてしまうこともあった。

技術士は、独占業務を持たないため、技術者の最高資格であり、試験が難しいわりには、待遇がよくない。

弁理士は、人数が増えるとともに、待遇が急速に低下した。

人気が出た資格もあるが、全般的な傾向としては、理系の地位低下とともに、理系資格の地位低下も著しくなっている。

これは、理系離れをさらに加速させるであろう。理系の連帯の観点からは、さまざまな理系資格の地位向上も必要となるだろう。

技術職人の地位向上

技術職人(大工、工芸品、伝統技能等)の地位向上も重要である。

これらの技術職人は、技術・技能を長年にわたって磨いてきた。その技能が伝承されるようにしなければならない。

技術職人を育てていくシステムも重要だろう。丁稚奉公が代表的なものであるが、現代の若者は、古いやり方に必ずしもなじまない。

技術職人のすばらしさを広め、若い人が抵抗なく、技術職人の道を目指すようにすることが重要である。

技術職人は、少しずつ技能、技術を磨いていくことができるので、博士のような研究者より有利な面がある。博士の研究者としての能力のピークは、若い頃にある。技術職人は、体力が必要なものもあるが、物によっては、歳をとってから円熟することもある。

技術職人による日本の技術の発展のためには、技術職人の社会的地位を高めていく必要があるだろう。

技術者、研究者の待遇改善

技術者、研究者は、日本の運命を支える極めて重要な立場にいる。

それにもかかわらず、理系離れが生じているのは、専門が高度化し、多くの勉強を一生し続けないと技術の進歩についていけないので、苦労が多いわりに、あまり報われていないという印象があるからだろう。

専門が高度化した分は、技術者の待遇が上がってよいはずである。昔の技術者より、今の技術者の方が待遇が良くてもよいはずなのである。

しかし、社会が技術者、研究者に報いる方法は、技術ほどはかわらない。技術が2倍高度化しても、2倍の給料をもらえるわけではない。だから、文系の人の方が次第に有利になっていく。理系の人は、高度な勉強をしても、待遇が上がらない。

待遇÷勉強の高度さを、待遇指数と呼ぶと、理系待遇指数は、文系待遇指数よりも、圧倒的に悪くなっている。この傾向は、技術の進歩とともに加速していくのである。

学生も、安易に流れるわけでは決してないだろうが、あまりの待遇指数の違いに、理系に進むのに二の足を踏んでいるのであろう。

理系の学生は、どんなに勉強をしても、文系には待遇で及ばないことを肌で感じ取って、理系離れをしているのである。

技術者、研究者の地位の向上は、技術者、研究者のためだけではなく、将来、理工系に進もうとする学生のためにも重要である。
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