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歯科医師の過剰と地位低下

歯科医師(歯医者さん)の過剰と地位低下の問題は、狭義の理工系の地位低下と構造が同じである。なお、広義の理工系は、歯学部出身者を含む。

まず、歯科医師になるには時間がかかる。文系エリートが学部卒ですぐに収入が得られるのに比べ、歯科医師は、働くまでに時間やお金がかかる。

そして、歳をとると作業がきつくなる点も同じである。

そして、最も共通していることは、歯科医師の地位は、歯科医師が決めることができないということである。歯科医師は少数なので政治的な力も弱い。

このことから、歯科医師が過剰になっても、歯科医師の数を劇的に減らすことができないでいる。都市部では、歯医者さんが乱立し、シャッターを閉めている歯医者さんも目立つ。

歯科医師の数を減らすことが重要である。需要が伸びていないのであれば、供給を減らさなければ地位は向上しない。

皮肉なことに、技術の進歩が技術者の地位を引き下げるように、技術の進歩は歯科医師の地位を引き下げる。

近年の技術の進歩として、歯ブラシの技術革新とキシリトール等の普及があるだろう。今後、技術が進めば、歯科医師の需要は低下する。技術の進歩にともない、歯科医師の数を減らす必要があるだろう。

歯科医師の数を減らす必要があるといっても、歯科医師には歯科医師の数を減らす政治力が十分にはないだろう。歯科医師は少数だからだ。

そこで、歯科医師は医師との連帯を深め、さらには技術者、科学者など、理系全般との連帯を深めていくことが必要である。技術専門職という点で共通し、地位低下の構造が同じだからだ。

医師、歯科医師、技術者、科学者はかなり異なるように思えてしまうかもしれない。そこで、そのような固定観念を取り去る工夫が必要となる。

まず、医師と歯科医師の連帯を深めるため、歯科医師は、医師として連帯すべきだろう。医師の中に、心臓専門医、皮膚専門医などがあり、歯科専門医があるというイメージでよいだろう。また、歯科医師と科学者、技術者との連帯を深めるため、科学技術専門職の中に、技術者、科学者がおり、医療関係技術を有する医師、歯科医師等がある考えると、医師や歯科医師も一種の技術者であると捉えやすくなり、技術者の地位向上運動に加わりやすくなるだろう。さらに、科学技術専門職より広い概念として、科学技術関連職があり、理系の地位向上運動があり、理系の連帯によりすべての理系が連帯すると考えやすくなる。これは歯科医師の政治力を増すために重要である。

また、歯科医師の地位向上には、予防歯科の診療点数を増やすことが大事だろう。よい医師は、未病を治すのである。

予防歯科だけで十分な収入になるように診療点数を増やし、歯科医が予防を専門にして生計を立てることができるようにすべきである。

予防専門歯科医は、予防診療では決して歯を削らず、十分な説明と同意をした上で治療診療に移ることを書面で確認した後でなければ、決して治療をしないことを約束するようにすれば、予防歯科の需要は増大するだろう。

そして、予防専門歯科医は、他の技術職とも連帯していくことが重要である。たとえば、予防のための効果的な技術開発を共同で行なっていくことが挙げられる。

歯科には、科学技術振興の大きな可能性がある。削らないでレーザーで治療をするなど、技術革新の最たるものの一つであろう。世界の人々に貢献をするために、歯科の技術開発の分野の可能性は大きい。歯科医師の地位を向上させ、歯科医師が人類の未来のために大きく貢献できる仕組みを整えていくことが重要であろう。

歯科医師の地位向上は、理系の地位向上である。
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