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能登半島沖の地震・津波と災害対策技術

能登半島沖で地震があった。震度6強だそうだ。地震発生から全テレビ局でいっせいに地震情報を流し、津波についても迅速に情報が流された。

これは決して当たり前のことではない。技術の発展してない国では、地震があっても情報が迅速に伝わらない。津波警報も出ない。津波の発生を迅速に検知できない国もあるのである。科学技術の大切さが分かる。

地震や津波に対する情報網と救援活動は、理工系の技術の勝利である。たとえば、日本の地震波観測技術等は世界最高水準である。情報ネットワーク技術も発達している。その他、災害救助技術、輸送機器技術など多くの技術が使われている。

国のどこかで災害が起こったとき、災害を迅速に検知し、あらゆる手段を採れるのは、技術の進歩した本当に豊かな国だけである。それを支えているのが理工系の技術の力と、日本の文化力なのである。

日本は、地震研究、津波研究を進め、災害対策技術を世界各国に輸出し、世界の国に貢献しなければならない。そのためには、災害関係技術に携わる理工系の人々の地位向上が役立つであろう。

タミフルと理工系

タミフルはインフルエンザの薬として有名である。

タミフルは、コンピュータの力の助けを借りて実現されたものであり、まさに理工系の力の結晶といえるだろう。

タミフルを服用して助かった人は、お医者さんに感謝して、理系の地位は低くてよいが、お医者さんだけは地位が高くてよいと考えるかもしれない。

しかし、実際には、タミフルの実現には、医学、薬学、化学、生物学等だけではなく、コンピュータ技術が必要であり、それを支える電気、電子、半導体、物性、材料等の多くの技術者、研究者が少なくとも間接には寄与しているといってよいだろう。

タミフルは、新型インフルエンザの脅威に対する対抗策とされている。新型インフルエンザについては不明な点があるが、仮にタミフルがウイルスの増殖を少しでも足止めし、免疫系の対応が整うまでの時間を稼げれば、多くの人々の命を救う可能性があるだろう。

副作用等については今後の調査研究が必要であろうが、タミフルが、人類のウイルスとの戦いにおいて、科学技術の進歩を実現した画期的な発明であることは忘れてはならないだろう。

科学技術は全体として発達するものであり、医師を除けば理系の地位は低くてよいという考え方は、科学技術の進歩を遅らせてしまうであろう。

ゲノム創薬と分子標的薬

ゲノム創薬と分子標的薬は大きな可能性を持っている。

分子の3次元立体構造をコンピュータで解析し、ウイルス感染に効く薬や副作用の少ない抗がん剤やなどを実現する。これらの研究は、薬学、医学だけでなく、多くの分野の協力が必要である。

ゲノムの解析には当然コンピュータが必要である。ゲノムの情報は大量であり、近年の記憶デバイスの進歩が貢献している。また、分子の3次元立体構造の計算には多くの計算量がかかる。これも、半導体素子の進歩が貢献している。

分子の3次元立体構造を解析するのに十分な性能のコンピュータができたのは、実は電気、電子、半導体、物性、材料、化学等の技術者、研究者のおかげである。

ゲノム創薬と分子標的薬は今後の医療を変えていく力がある。研究費をつぎこむ必要がある。また、バイオベンチャーの支援も必要だろう。

ゲノム創薬と分子標的薬で命が助かった人は、お医者さんに助けてもらったと考えるかもしれない。しかし、ウイルス疾患の治療や転移がんの治療は名医の技では限界がある。科学技術の進歩により、ゲノム創薬と分子標的薬を開発し、ウイルスへの特効薬や、副作用が少なく特異的に効く抗がん剤を開発するなど、研究者の力が重要となる。

この研究者は、医学研究者、薬学研究者だけではない。科学技術は全体として発展するものである。ゲノム創薬と分子標的薬で多くの人の命を救うには、数多くの理工系の人材の努力が必要となる。たとえば、シリコンの単結晶の純度を高めた化学者は、実はコンピュータの実現を通じ、分子の3次元構造の解析を可能にすることで、多くの人の命を救うことに貢献するのである。理工系の研究者は、実は医学研究者であるとも言える。

このように、人々の命を救うという側面からも、理工系の人々の重要性の認識を深め、地位向上への動機としていかなければならないだろう。

理系の考え方の違い

理工系ブログは、色々な理系の類型をカバーしようとはしているが、取り上げられていない理系の類型の方には、力不足で申し訳ないと思う。一例を挙げれば、農業関係等をもっと書きたいのだが知識が乏しく思い浮かばない。

理系にも色々な立場や考えの人がいる。十人十色といってよいだろう。理系企業などの理系団体にも色々な立場や考えの団体がある。

人間は十人十色なので、理系全体を見れば、理系の地位向上自体は必要であるいう1点だけしか共通点がないだろう。理工系ブログを全理系の人に満足のいく内容とすることはとても力が及びそうにない。

理系の地位向上自体が必要ないという考えの人もいるが、アンケートによれば、概ね理系の地位向上自体は必要であると捉える人が多いようだ。

個々の考え方が相当に異なっていても、理系の地位向上自体は必要であると考える人や団体が緩やかに連帯していくことが必要だろう。

理系の地位向上自体は必要であるいう1点での共通点が重要と思われる。

細かい違いで分裂してしまえば、理系の地位向上にとって結局はマイナスになってしまう。
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