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ゲノム創薬と分子標的薬

ゲノム創薬と分子標的薬は大きな可能性を持っている。

分子の3次元立体構造をコンピュータで解析し、ウイルス感染に効く薬や副作用の少ない抗がん剤やなどを実現する。これらの研究は、薬学、医学だけでなく、多くの分野の協力が必要である。

ゲノムの解析には当然コンピュータが必要である。ゲノムの情報は大量であり、近年の記憶デバイスの進歩が貢献している。また、分子の3次元立体構造の計算には多くの計算量がかかる。これも、半導体素子の進歩が貢献している。

分子の3次元立体構造を解析するのに十分な性能のコンピュータができたのは、実は電気、電子、半導体、物性、材料、化学等の技術者、研究者のおかげである。

ゲノム創薬と分子標的薬は今後の医療を変えていく力がある。研究費をつぎこむ必要がある。また、バイオベンチャーの支援も必要だろう。

ゲノム創薬と分子標的薬で命が助かった人は、お医者さんに助けてもらったと考えるかもしれない。しかし、ウイルス疾患の治療や転移がんの治療は名医の技では限界がある。科学技術の進歩により、ゲノム創薬と分子標的薬を開発し、ウイルスへの特効薬や、副作用が少なく特異的に効く抗がん剤を開発するなど、研究者の力が重要となる。

この研究者は、医学研究者、薬学研究者だけではない。科学技術は全体として発展するものである。ゲノム創薬と分子標的薬で多くの人の命を救うには、数多くの理工系の人材の努力が必要となる。たとえば、シリコンの単結晶の純度を高めた化学者は、実はコンピュータの実現を通じ、分子の3次元構造の解析を可能にすることで、多くの人の命を救うことに貢献するのである。理工系の研究者は、実は医学研究者であるとも言える。

このように、人々の命を救うという側面からも、理工系の人々の重要性の認識を深め、地位向上への動機としていかなければならないだろう。