人道支援 | 2007.04.30 Monday
12:35
筋肉が骨になる病気(FOP)の話をテレビで見た。難病の人が議員に働きかけて、難病認定がなされたということである。それにより研究が進むそうである。すばらしいことである。
あまり認識されていないかもしれないが、理工系こそが医学の進歩の鍵を握っている。理工系の地位向上運動は、科学技術水準を全体的に引き上げ、ひいては難病の人を救うことになる。科学技術の進歩により、人類の科学技術水準を平素から上げておくことが、難病の人を救うことになるのである。
FOPの場合、原因となる遺伝子が特定されたそうであるが、これは遺伝子工学の進歩による。難病の研究は難病の研究だけではなしえない。基礎的な研究の積み重ねの上に、難病の研究がある。
そして、遺伝子工学の発展は、化学分析技術、コンピュータ技術の発展に支えられており、それらは材料技術、電子技術など数多くの理工系の科学技術に支えられている。平素から全科学技術分野にわたって、科学技術の振興が重要である。
医学だけではなく、全科学技術分野が医療に関係しうることは、以下の記事でも述べた。
ゲノム創薬と分子標的薬
地位向上一般 | 2007.04.29 Sunday
21:56
理系の地位向上運動は、科学技術の進歩のためのものである。
科学技術の進歩をよいことと考えるか悪いことと考えるのかは、人それぞれであろう。価値観は人によって違う。
しかし、仮に科学技術の進歩を肯定する場合、次に「科学技術の進歩を促進させるためには、理系の地位を上げる方がよいか下げる方がよいか」という命題の答を出さなければならない。
これは、検証可能な命題である。少なくとも理系離れが生じてしまうのであれば、科学技術の進歩を阻害することは自明であろう。
日本は、科学技術立国を採っている。国としては科学技術の進歩を肯定する立場である。金融立国、資源立国、農業立国、観光立国など他の有力な手段があれば、日本が科学技術立国を捨て去ることができるかもしれないが、日本が科学技術立国を捨てられるほどの代替案は今のところ示されていない。
日本は科学技術立国を推進しているのに、理系離れが生じているのである。これは深刻な矛盾ではないだろうか。
理工系の地位向上運動の目的は、科学技術の進歩にある。自分の地位を上げてほしいというだけの私利私欲の運動ではないのである。
技術者・研究者 | 2007.04.28 Saturday
05:24
リニアモーターカーは理工系の技術の結晶である。
鉄道技術は、アメリカが鉄道を重視していないので、日本、フランス、ドイツ等が支えている。人類に対する責務を日本は負っているのである。
その意味で、リニアモーターカーは、世界の鉄道技術の観点から重要である。営業運転には色々な考慮が必要であろうが、少なくとも研究開発への多大の資金投入は怠ってはならないであろう。
営業運転にあたっても、リニアモーターカーが実現することが鉄道技術の進歩に与えるプラス面を計上して考えるべきであろう。リニアモーターカーの技術者、研究者の士気を上げていくことが重要である。
技術者・研究者 | 2007.04.21 Saturday
23:42
魚の養殖の技術は大きな可能性を持っている。
養殖については、コストを削減するために狭い生け簀にたくさんの魚を入れたり、抗生物質を過度に使うなどの方向ではなく、魚をできる限りよい環境で飼育し、高級品として出荷する方向が望ましいだろう。
高い技術者倫理に基づいて、科学技術の力を結集して天然を超える良好な環境を作り出し、天然物を超える付加価値を生み出すことが重要だろう。
天然物が高いから魚をあたかも工業製品のように大量生産して安いものを提供するのではなく、技術者倫理の観点を考える必要があるだろう。
漁業関係の技術者、技能者が、誇りと高い技術者倫理を持って仕事をすることが、漁業関係の技術者、技能者の地位向上につながるであろう。
理系女性 | 2007.04.09 Monday
22:36
女性差別という言葉はあるが、理系差別という言葉はあまり聞かない。
これは、理系は多くの場合自らの選択によるものであり、待遇が悪ければ離れることができるからである。理系差別ではなく、理系離れが起こってしまうのである。
逆に、女性離れという言葉はあまり聞かない。女性は生まれつきであり、自らの選択でなるものではないし、女性離れは困難である。
よって、女性の場合には「女性差別」の問題になり、理系の場合には「理系離れ」の問題となることが多い。
なお、男性差別や文系離れの問題もある。女性差別について男性に聞けば、女性は優遇されている面もあると答えるだろう。理系離れについて文系に聞けば、理系は優遇されている面もあると答えるだろう。女性の多くや、理系の多くも、同様に答えるかもしれない。実際に、それが事実であろう。
女性は、社会から色々な面で保護を受けやすい。幸せに暮らしている女性は、女性の方が恵まれているというだろう。
理系は、人間関係など面倒なことを避けて技術や研究に集中しやすい。幸せに暮らしている理系は、理系の方が恵まれているというだろう。
これらは、物事の一筋縄ではいかない複雑性を意味している。
しかし、それでも、相対的に見れば、女性差別、理系離れは、男性差別、文系離れより深刻であるといえるだろう。
社会には、男性差別も数多く存在するが、相対的には、女性差別の方が男性差別よりも社会問題になっている。
また、社会には、理系の方が優遇されている点も数多く存在するが、相対的には、理系離れの方が文系離れよりも社会問題となっている。
特に、昇進等に焦点を当てれば、女性差別や文理格差は歴然と存在する。
そこで、一部の女性は、女性差別の撤廃を訴える。
また、一部の理系は、理系の地位向上を訴える。
しかし、大部分の女性や、大部分の理系は、そういう運動も一理はあると思いつつも、積極的には動かない。
満足している女性や理系も多いため、運動自体に意義を感じない場合もある。そして、大多数の女性や理系は、多少の不満を持っているが、積極的に動くほどではないと考えるのである。
その結果、女性は人口の約半数を占め、理系も相当数を占めるが、その割には地位向上がなされていないのである。
このように、女性の地位向上も、理系の地位向上も、似ている面がある。
地位向上一般 | 2007.04.04 Wednesday
21:30
科学技術の進歩は、環境問題の解決に重要である。
科学技術の進歩を敵視する者は、環境問題は科学技術により引き起こされたと主張する。そして、科学技術の進歩を止めることこそ、環境問題の解決であると主張する。
しかし、科学技術の進歩を敵視するのは正しい態度ではないのではないだろうか。原始的な暮らしに戻ることは現実的ではない。
そもそも、科学技術の進歩こそが、環境問題を突き止めたのである。たとえば、公害は、科学者によるメカニズムの研究なしには食い止められない。
科学技術の進歩が、環境問題の解決につながる。これは、科学技術が進歩した国と、そうでない国で、いずれが環境問題が深刻かを考えれば分かるであろう。
日本は、環境問題を解決する環境技術により世界に貢献しなければならない。環境問題の解決に向けて、科学技術を進歩させるべきであろう。
理工系の地位向上が重要となるゆえんである。
技術者・研究者 | 2007.03.25 Sunday
11:38
能登半島沖で地震があった。震度6強だそうだ。地震発生から全テレビ局でいっせいに地震情報を流し、津波についても迅速に情報が流された。
これは決して当たり前のことではない。技術の発展してない国では、地震があっても情報が迅速に伝わらない。津波警報も出ない。津波の発生を迅速に検知できない国もあるのである。科学技術の大切さが分かる。
地震や津波に対する情報網と救援活動は、理工系の技術の勝利である。たとえば、日本の地震波観測技術等は世界最高水準である。情報ネットワーク技術も発達している。その他、災害救助技術、輸送機器技術など多くの技術が使われている。
国のどこかで災害が起こったとき、災害を迅速に検知し、あらゆる手段を採れるのは、技術の進歩した本当に豊かな国だけである。それを支えているのが理工系の技術の力と、日本の文化力なのである。
日本は、地震研究、津波研究を進め、災害対策技術を世界各国に輸出し、世界の国に貢献しなければならない。そのためには、災害関係技術に携わる理工系の人々の地位向上が役立つであろう。
地位向上一般 | 2007.03.21 Wednesday
22:54
タミフルはインフルエンザの薬として有名である。
タミフルは、コンピュータの力の助けを借りて実現されたものであり、まさに理工系の力の結晶といえるだろう。
タミフルを服用して助かった人は、お医者さんに感謝して、理系の地位は低くてよいが、お医者さんだけは地位が高くてよいと考えるかもしれない。
しかし、実際には、タミフルの実現には、医学、薬学、化学、生物学等だけではなく、コンピュータ技術が必要であり、それを支える電気、電子、半導体、物性、材料等の多くの技術者、研究者が少なくとも間接には寄与しているといってよいだろう。
タミフルは、新型インフルエンザの脅威に対する対抗策とされている。新型インフルエンザについては不明な点があるが、仮にタミフルがウイルスの増殖を少しでも足止めし、免疫系の対応が整うまでの時間を稼げれば、多くの人々の命を救う可能性があるだろう。
副作用等については今後の調査研究が必要であろうが、タミフルが、人類のウイルスとの戦いにおいて、科学技術の進歩を実現した画期的な発明であることは忘れてはならないだろう。
科学技術は全体として発達するものであり、医師を除けば理系の地位は低くてよいという考え方は、科学技術の進歩を遅らせてしまうであろう。
地位向上一般 | 2007.03.19 Monday
00:27
ゲノム創薬と分子標的薬は大きな可能性を持っている。
分子の3次元立体構造をコンピュータで解析し、ウイルス感染に効く薬や副作用の少ない抗がん剤やなどを実現する。これらの研究は、薬学、医学だけでなく、多くの分野の協力が必要である。
ゲノムの解析には当然コンピュータが必要である。ゲノムの情報は大量であり、近年の記憶デバイスの進歩が貢献している。また、分子の3次元立体構造の計算には多くの計算量がかかる。これも、半導体素子の進歩が貢献している。
分子の3次元立体構造を解析するのに十分な性能のコンピュータができたのは、実は電気、電子、半導体、物性、材料、化学等の技術者、研究者のおかげである。
ゲノム創薬と分子標的薬は今後の医療を変えていく力がある。研究費をつぎこむ必要がある。また、バイオベンチャーの支援も必要だろう。
ゲノム創薬と分子標的薬で命が助かった人は、お医者さんに助けてもらったと考えるかもしれない。しかし、ウイルス疾患の治療や転移がんの治療は名医の技では限界がある。科学技術の進歩により、ゲノム創薬と分子標的薬を開発し、ウイルスへの特効薬や、副作用が少なく特異的に効く抗がん剤を開発するなど、研究者の力が重要となる。
この研究者は、医学研究者、薬学研究者だけではない。科学技術は全体として発展するものである。ゲノム創薬と分子標的薬で多くの人の命を救うには、数多くの理工系の人材の努力が必要となる。たとえば、シリコンの単結晶の純度を高めた化学者は、実はコンピュータの実現を通じ、分子の3次元構造の解析を可能にすることで、多くの人の命を救うことに貢献するのである。理工系の研究者は、実は医学研究者であるとも言える。
このように、人々の命を救うという側面からも、理工系の人々の重要性の認識を深め、地位向上への動機としていかなければならないだろう。
理系の連帯 | 2007.03.17 Saturday
19:31
理工系ブログは、色々な理系の類型をカバーしようとはしているが、取り上げられていない理系の類型の方には、力不足で申し訳ないと思う。一例を挙げれば、農業関係等をもっと書きたいのだが知識が乏しく思い浮かばない。
理系にも色々な立場や考えの人がいる。十人十色といってよいだろう。理系企業などの理系団体にも色々な立場や考えの団体がある。
人間は十人十色なので、理系全体を見れば、理系の地位向上自体は必要であるいう1点だけしか共通点がないだろう。理工系ブログを全理系の人に満足のいく内容とすることはとても力が及びそうにない。
理系の地位向上自体が必要ないという考えの人もいるが、アンケートによれば、概ね理系の地位向上自体は必要であると捉える人が多いようだ。
個々の考え方が相当に異なっていても、理系の地位向上自体は必要であると考える人や団体が緩やかに連帯していくことが必要だろう。
理系の地位向上自体は必要であるいう1点での共通点が重要と思われる。
細かい違いで分裂してしまえば、理系の地位向上にとって結局はマイナスになってしまう。