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女性差別と理系差別

女性差別という言葉はあるが、理系差別という言葉はあまり聞かない。

これは、理系は多くの場合自らの選択によるものであり、待遇が悪ければ離れることができるからである。理系差別ではなく、理系離れが起こってしまうのである。

逆に、女性離れという言葉はあまり聞かない。女性は生まれつきであり、自らの選択でなるものではないし、女性離れは困難である。

よって、女性の場合には「女性差別」の問題になり、理系の場合には「理系離れ」の問題となることが多い。

なお、男性差別や文系離れの問題もある。女性差別について男性に聞けば、女性は優遇されている面もあると答えるだろう。理系離れについて文系に聞けば、理系は優遇されている面もあると答えるだろう。女性の多くや、理系の多くも、同様に答えるかもしれない。実際に、それが事実であろう。

女性は、社会から色々な面で保護を受けやすい。幸せに暮らしている女性は、女性の方が恵まれているというだろう。

理系は、人間関係など面倒なことを避けて技術や研究に集中しやすい。幸せに暮らしている理系は、理系の方が恵まれているというだろう。

これらは、物事の一筋縄ではいかない複雑性を意味している。

しかし、それでも、相対的に見れば、女性差別、理系離れは、男性差別、文系離れより深刻であるといえるだろう。

社会には、男性差別も数多く存在するが、相対的には、女性差別の方が男性差別よりも社会問題になっている。

また、社会には、理系の方が優遇されている点も数多く存在するが、相対的には、理系離れの方が文系離れよりも社会問題となっている。

特に、昇進等に焦点を当てれば、女性差別や文理格差は歴然と存在する。

そこで、一部の女性は、女性差別の撤廃を訴える。
また、一部の理系は、理系の地位向上を訴える。

しかし、大部分の女性や、大部分の理系は、そういう運動も一理はあると思いつつも、積極的には動かない。

満足している女性や理系も多いため、運動自体に意義を感じない場合もある。そして、大多数の女性や理系は、多少の不満を持っているが、積極的に動くほどではないと考えるのである。

その結果、女性は人口の約半数を占め、理系も相当数を占めるが、その割には地位向上がなされていないのである。

このように、女性の地位向上も、理系の地位向上も、似ている面がある。