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科学技術関連人材による人命救助

科学技術関連人材による人命救助は、理系の地位を向上させる一つの動機になるであろう(http://rikoukei.com/douki.html)。

理系の中で、医師の地位が高いのは、人命救助の観点から、医師の地位を高くするという社会的コンセンサスがあるからと思われる。

医師の地位向上は、優秀な人材を医師に集め、それが人命救助の確率を高める。すなわち、医師の地位向上により、人命救助がなされる。

問題は、医師以外の理系の地位を高くすることが人命救助にとって効果的なのかである。

医学は、人類の科学技術の体系と無関係に存在するわけではない。医学の進歩は、理学、工学、薬学、農学など色々な科学技術の分野に支えられている。

優秀な人材を理系に集めることが、科学技術の発展による人命救助にどの程度有効であるかは、研究課題となるだろう。

300年程度の時間規模で見ると、科学技術の発展を抑圧した社会は人命救助の点からかなり不利になるだろう。

たとえば、江戸幕府が現在でも続いていたら、今でも多くの人が疫病や飢饉におびえなければならないかもしれない。

江戸時代の平均寿命は、20歳台といわれている。現在であれば救える命も、江戸時代では救うだけの科学技術力がない。

江戸幕府が医者だけを優遇し、士農工商で、技術者を冷遇した場合、丸薬の作り方は進歩しても、電子顕微鏡やX線CTなどは生まれない。

医者だけではなく、幅広い科学技術分野の人材の地位を向上させることが、長期的には人命救助となるのではないだろうか。

この点についてはさらに研究を進めていく必要があるだろう。
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