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脚気と結核 − 2大国民病の克服

脚気と結核が2大国民病であった時代がある。日本人の多くが、脚気と結核によって死んでいった。エイズなど現在恐れられている治療の難しい病気よりも、はるかに多くの日本人が脚気と結核によって死んでいったのである。

現在では、脚気と結核でそんなに多くの人が死んだのかいぶかしく思う人もいるかもしれない。現在の2大国民病を強いて挙げれば癌や心臓病ということになるであろう。癌や心臓病で多くの人が死ぬことをいぶかしく思う人はいない。

しかし、将来の日本において、なぜ癌や心臓病で死んだ人がいるのか多くの人がいぶかしく思う時代が来なければならないだろう。

将来は、たとえば細胞の分化を制御できるようになり、癌が治るようになってほしい。また、たとえば血管を修復して心臓病を治すようになってほしい。

それらの技術がどこから来るのかは分からない。たとえば、iPS細胞など細胞の分化の基礎研究は重要であろう。しかし、多くの科学上の発展が、思いもよらない方向から来ることがあることは重要である。科学技術の全体的な発展が望まれている。

脚気と結核の2大国民病の克服という科学技術の輝かしい勝利を過小評価してはならないだろう。科学技術の発展による人命救助に向けて理系の貢献が望まれている。